デジタルマーケティング、デジマという言葉は、マーケティングに携わる方は必ず一度は耳にし、話題にも上がるテーマです。現代ではDXも企業経営におけるバズワードになっており、企業のデジタルシフトに注目が集まっています。その流れの中で、デジタル専門の部署やデジマ部署を新設する企業も増えています。
デジタルマーケティングの意味と定義は時代の変遷によって変わってきています。また2000年以降その変化は急激で、数年ごとに意味合いが変わってきています。
今回はデジタルマーケティングの歴史と2021年版デジタルマーケティングの定義をまとめていきます。
デジタルマーケティング歴史
黎明期
インターネットの登場と発展と共にデジタルマーケティングは発展してきました。1990年年代から2000年までの間はインターネットそのものの普及期で、総務省のデータによると1999年のインターネット人口はやっと2割を超えるくらいでした。また携帯電話もポケベル、PHSからいわゆるガラケーへと変化を遂げ、iモードが登場したのもこの頃でした。
1996年にYahoo!Japanがサービス開始、1997年にGoogle検索が誕生しました。そしてYahooが1997年からバナー広告のサービスを開始しました。
当時はデジタルマーケティング言葉もありませんでしたが、WEB広告のいわゆる純広告と呼ばれるサービスが出始めた頃でした。当時の広告手法といえば4マス媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)、OOHが主流で、WEB広告はビジネスモデルの模索段階でした。
2000年代 WEB広告、SNSの発展期
2000年からの10年は大きくインターネットの世界が発展し、さらにSNSの登場によって消費者の行動の場がリアルの場から急激にオンラインにシフトをしました。
この時代のポイント
- 検索行動が当たり前に
- SNSの発展
- ECビジネスの発展
2000年から急速にブログの文化が発展し、個人でも手軽に情報発信をすることができるようになりました。それと同時にGoogleやYahooなどの検索エンジンの持つ役割が増しました。
この頃から検索連動型広告、いわゆるリスティング広告がデジタルの広告手段として積極的に活用されると同時に、Google AdSenseの登場でブログに広告を貼りつけ、手軽に収入を得られるようになったことでバナー広告も一気に主流になるようになりました。
そして2004年ごろからmixi、Facebookがサービスを開始、2006年にTwitterがサービス展開されるようになり急激にオンラインでのコミュニケーションが活発になりました。それぞれのサービスが展開され始めた頃はSNS、ソーシャルネットワークサービスと呼ばれ、オンラインでのユーザーの双方向のコミュニケーションの場でしたが、いつの日かソーシャルメディアとも呼ばれるようになりました。個人も企業も「情報」を発信する場となり、買っているもの、利用したサービス、その使い心地や体験をシェアする場になったことで、一つのメディアとなっていきました。
これによりソーシャルメディアでのマーケティングが活発になり、バナー広告はもちろんのことインフルエンサーと呼ばれる、芸能人やフォロワーや友達の多いユーザーによる製品やサービスの紹介が活発に行われるようになりました。
Amazon、楽天などのECビジネスの発展も2000年からでした。手軽に家にいても商品やサービスが買えるようになりました。同時に、検索エンジン、ブログ、SNSとの組み合わせにより、企業からの一方的なメッセージ発信をもとに購買をしていた2000年以前から、消費者同士がコミュニケーションをして良い製品やサービスを見つけ購入するような時代へと変化をしました。
2000年代はマーケティングにとっては、検索とSNSとECビジネスの発展に伴い、「アドテクとWEB広告」を中心としたいわゆるWEBマーケティング手法が発展を遂げた時代でした。主にはBtoCのビジネスにおいて、4マス媒体+オンライン広告という位置付けでデジタルマーケティングを開始したところが多かったです。BtoBにおいては営業が企業リストをもとに電話して、対面で営業をして案件を獲得する、プラスしてソーシャルやWEB広告の活用をし始めた段階でありました。
2010年代 WEBマーケ、マーテクの発展(ECビジネス、MAやCRMツールの発展)
2010年代以前はガラケーが主流でメールや電話でのコミュニケーションとオンラインのECサイトやSNSを見るのもパソコンでした。2010年代は2008年に登場したiPhone 3Gからじわじわとスマートフォンの認知が広まり、2010年のiPhone4の登場を皮切りに一気にモバイル化が進んだ時代です。
この時代のポイント
- モバイルシフト
- データが売り物に
- マーケティング手法の多様化と複雑化
2010年iPhone4の登場以降、5年で日本の7割ほどがスマートフォンを利用するほど急速に普及を遂げました。スマートフォンを手放す時はないと言うほど短かな存在になると同時に、SNS、ECサイトでの商品購入、動画視聴に割く時間が急速に増えることになりました。
モバイルへのシフトに伴い、マーケティングもモバイルファーストな広告や、動画のインフィード広告が主流になりました。また肌身離さずに利用されるスマートフォンは多くのデータを生むようになり、事業者はそのデータを活用して、マーケティングや商品開発に活かすことができるようになりました。
2010年代までは、コンビニなどではPOSレジで店員さんが商品購入者の見た目で年代、性別を打ち込み、データを商品開発やマーケティングに利用をしていました。スマーフォンの登場で、個人情報を入れて、ECサイトで製品購入をすることが一般的になったため、正確なデータを消費者自らが入れるようになりました。
これにより、マーケティングにおいてはこれまでWEB広告は「面」=消費者がみそうなサイトに広告を掲載するという方法から、「人」=ターゲットとなる消費者に直接広告を出すという手法を取ることができるようになりました。
さらにデジタルのマーケティング手法は増え、複雑になりました。GoogleやYahoo以外にも、広告枠をまとめ各種データを活用して性別や年齢はもちろんのこと、興味関心や年収、家族構成に至るまでピンポイントでターゲティングができるDSPと呼ばれる広告配信サービス提供者も乱立しオンライン広告の戦国時代となりました。
さらにWEBサイト自体もデータ連携により、訪問顧客の属性に合わせてページをパーソナライズしたり、WEBのポップアップを出したり、AIチャットで顧客応対をして利便性を上げるなど、単なるWEB広告を超えたマーケティング手法も出現してきました。
BtoBの領域においても、2014年ごろからMAツールとCRMなどの導入が進み、「営業を科学する」ことが進み始めました。MAツールやCRMツールは見込み顧客を特定し、その購入までのステータスを管理して、マーケティングや営業活動に利用するツールです。これらのツールはWEBの発展により、顧客が営業訪問の前に自身で情報収集をして、営業訪問の前に製品やサービス導入を決めていると言うことが多くなったために、発展をしてきました。
2010年代のデジタルマーケティングは「モバイルシフトとデータを活用したオンラインのマーケティング手法」の発展をした時代でした。データドリブンマーケティングという言葉も登場し、2010年代後半のデジタルマーケティングには「データ活用」に注目が当てられるようになりました。一方で無秩序なデータ活用はプライバシーの侵害、Cookieの規制、個人情報保護の規制などの論争を引き起こしました。データをうまくビジネスに結びつけられた企業が競争力を高めた10年でした。
2021年版のデジタルマーケティング
オンラインがオフラインを飲み込む
2020年代のデジタルマーケティングはさらに、データ統合と活用が進む時代に突入します。オンラインとリアルの垣根はますますなくなり、よりシームレスな体験ができる時代に向かっています。
元々O2O、Online to Offlineと呼ばれる、ソーシャルやWEBやアプリを通して、オフラインの店舗へ送客をするという考え方が一般的でした。近年、さらにその考え方は進化し、OMO、Online Merges with Offlineと呼ばれるオンラインとオフラインの垣根を超えた顧客体験の向上をさせる考え方が登場しています。
今までは企業視点で、効率的に、ピンポイントにターゲティングをしてメッセージを届け製品やサービスの購買につなげることが主眼に置かれてきましたが、より顧客視点で体験の質をデータ分析をもとに向上させることがポイントになってきました。もはやWEBの広告のCVRの向上、WEBサイト、アプリのUXやUIの向上、ECサイトのPDCAによる改善を単体で行うだけでは競争力の維持は難しくなりました。大量にあるデータを統合し、顧客接点における全ての体験を向上させるためにそのデータを活用することが求められています。
購買プロセスの中で発生する全てのデータを統合し、顧客視点で体験を向上させる「真のデータドリブンマーケティング」が2020年代のデジタルマーケティングの定義と言えるでしょう。
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まとめ
ここまで「デジタルマーケティング」という時代によって変化する定義をおさらいしてきました。そして、2021年版デジタルマーケティングの定義を記してきました。
デジタルマーケティングの意味はテクノロジーや時代の変化に合わせて変化しています。また、時代を追うごとにその定義の変化は急激になり、複雑にもなっています。日々アップデートされるテクノロジー、新たに出現する手法を取り込み、いかに顧客に最適な製品やサービスを提供する仕組みを作れるかが、これからのマーケティングにとって重要なことになるでしょう。
当ブログでも最新のマーケティングトレンドを発信し続けていきます。