2020年のコロナ禍によりBtoBマーケティングにも大きな変化が訪れました。日本国内でBtoBビジネスのリード獲得と商談、デモの機会の中心として展示会が大きな立ち位置を占めてきました。しかしながらコロナ禍により、展示会は大きく制限され、営業が直接お客様と商談やデモをする機会が減少しました。
その中で注目を集めるようになったのがウェビナーです。2020年の3月ごろから急激にその実施数は増え、5月には毎日多くのウェビナーが実施されるまでに一般的になりました。
初めは物珍しく参加者も容易に集まりました。一方でウェビナーが乱立し、2021年には当初よりも集客も難しくなりました。そこで2021年版失敗しないウェビナーの実施方法をまとめました。
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1目的•目標の設定
最も重要なことは、1番最初にウェビナーの目的目標を設定することです。おおよそウェビナーを実施する際の目的は大きく分けて5つに分かれます。
- 新規リードの獲得
- 案件化するためのナーチャリング
- 案件化したユーザーのクロージング
- 既存顧客のアップセル、クロスセル
- サービス利用促進のためのカスタマーサクセス
上から新規顧客の獲得を目的にしたウェビナーで、下に行くほど既存顧客に向けたウェビナーになります。
目的が明確になった後は目標設定をします。新規顧客の獲得ウェビナーは獲得したい案件数から逆算、もしくはリードの獲得単価と予算から計算をして何名の集客が必要かを検討します。既存顧客のウェビナーの場合はLTVやサービスの継続率などを元に目標を設定します。
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2ウェビナーの手段を選択
目的目標が決まればその後は適切な配信方法を選択します。ウェビナーで失敗する要因の多くはこの適切な配信方法を選択するときに起こります。ここではどのような場合にどのウェビナー配信を選択すべきか、を示していきたいと思います。
新規リード獲得を目的とする場合
まず新規リード獲得を目的とする場合に、自社単独での配信はおすすめしません。集客を単独で実施するのは非常にコストがかかる場合が多いためです。ブランド力がある、もしくはこれまで展示会のブース出店で1,000万円以上をかけていたという場合には自社開催も問題ないです。それ以外の場合は次の2つの手段を選択するのが適しています。
共催セミナー
同じ目的を持つ、企業との共催セミナーは最もコスト効率よく、自社の見込み顧客の獲得をすることができます。
同業種の企業、もしくは同じターゲット属性、例えば自社製品サービスが人事総務部門をターゲットにする商材の場合、同じ業種をターゲットとする企業と共催でウェビナー開催をします。これにより、双方の持つリードをシェアするということができます。
私がコンサルティングする中で経験した例では、2企業が総務部向けのセミナーを共催で開催。企業公演に有識者の方を招聘し、講演料として40万円をお支払いし、ウェビナー配信は片方の企業が持つスタジオと配信をしました。その際、それぞれのハウスリストから150名を集客し計300名、集客単価は1,333円で実施した例がありました。もちろん被りがあるので新規のリード獲得単価は3,000円程度になりますが、それでも一般的なリード獲得単価からしても圧倒的に安く実施できた例だと思います。
一方で共催でウェビナーを実施する際には、2社実施の場合はどちらかの企業が、複数社の場合は最低でも1社はウェビナー配信に慣れていないと集客から配信まで苦労することになります。経験がない会社で集まって実施場合には配信に慣れた会社に外部委託から始めると良いでしょう。
メディア主催ウェビナーへの協賛
手軽さでは、メディアが主催しているウェビナーへ協賛することが新規リード獲得をする上では1番です。
ビジネス系で幅広くリーチをかけてリード獲得する場合には、日経や日経BP、東洋経済、ダイヤモンド社などが特定のテーマでウェビナーを定期的に主催しているのでそのセミナーに協賛することが近道になります。メディアが保有する数万から数十万の会員に対して集客がかけられるのと、集客の保証がある場合は必ず目標数が集まるのでその点は安心することができます。また基調講演もメディア側で有識者をアサインしてくれるので、集客をするための工夫も任せることができます。
ただしコストは共催よりも大幅に増え、大手メディア主催ウェビナー協賛の場合は1回のウェビナーへの協賛で200万円、集客は200名程度からが相場になります。つまりリードの獲得単価としては10,000円程度になります。
業界や業種を絞ると中規模のメディアが主催するセミナーがあり、50万円で150人の集客で獲得単価3,000円程度になる場合もあります。開催しているウェビナーをWEBで探してみるか、BtoB系に強い広告会社に選定を相談してみるのも良いでしょう。
既存顧客に対する配信の場合
既存顧客やすでにリードになっているものの、停滞しているユーザーにたいしては自社配信でできる限りコストを抑えて配信を実施することが最適です。
自社担当がZoomやTeamsを使った配信
最もウェビナー配信の中で、コストもかからず、手軽に実施できるのが、ZoomやTeamsを使って自社のマーケティング担当者、製品担当者がスライドを使って説明をするスタイルのウェビナーです。
内容としては、すでに自社製品を利用していて、新製品や別のオプションの検討段階にあるユーザーに対して詳しい製品説明や画面を見せてのデモなどを実施するには最適な配信方法です。
ただし、スライドを使って延々と説明をすると眠くなるのと、かえって悪い印象を与えることもあるので注意が必要です。
OBSを使った演出を加えた本格的な配信
既存リードであるものの、停滞をしていてなかなか案件につながらなユーザーに対してナーチャリング目的でウェビナーを実施する場合には、参加したいと思わせる工夫が必要です。
内容としては事例企業の紹介や有識者と自社の担当者との対談などがコンテンツとして考えられます。どちらの場合も見ている人を惹きつけるにはライブ感を出したり、インタラクションを設けることが必要です。
スタジオやカフェ風の場所などを使い、立って歩きながらのプレゼンテーションやテレビ番組風の椅子に座って対談などを演出して配信するには、 OBSと呼ばれるツールを使い、カメラは2台以上使い、スライドや動画コンテンツを切り替えながらの本格的な配信が見ている人を惹きつけます。
多くの場合、外注配信ベンダー委託が必要になりますが、スタジオを借りない場合には1回の配信は40万円ほどで実施が可能です。機材と配信人材を3名ほど揃えれば自社の人材でも実施は可能です。
既存リードのナーチャリングは多くの企業で課題になっていると思います。つまりは、どの企業もウェビナーでナーチャリングを試みますので激戦です。眠くなるような延々とスライド説明ウェビナーは1度やってつまらないと思われてしまうと、2度と参加して貰えなくなってしまうので、演出や出演者などで工夫をしていくことが大切です。
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3実施と実施後の振返り
目的を設定し、ウェビナー配信を終わった後には必ず振返りをしましょう。
何件申込があり何名参加したのか。そしてリード獲得単価、案件•受注単価はいくらだったのか。中長期では獲得リードから何件商談につながり、何件成約をしたのかやセミナー参加者と非参加者のLTVの違いなどの情報を蓄積て比較してどのセミナーが最もパフォーマンスが高かったのかを見ましょう。
月に2回ウェビナーを開催すると1年で24回のウェビナー実施となります。それぞれのパフォーマンスを横並びで比較すると必ずどのテーマ、どんな演出をしたウェビナーが効果的だったのかが見えてくると思います。その結果を次の年も生かすということでPDCAを回すことができます。PDCAを回すことでウェビナーで失敗をすることはなくなります。
ぜひ目的目標の設定から、適切なウェビナー配信手法を選び、終わった後には振返りをすることをこの1年でチャレンジしていただければと思います。