リードナーチャリング、顧客育成はリードジェネレーションにより見込み顧客を発掘した後、自社の製品やサービスの購入につなげるため、様々な情報を提供し購買意欲を高めていく工程を指します。
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今回はBtoBマーケティングにおいて最も重要なプロセスとも言われる、リードナーチャリングの実践方法を紹介していきます。
リードナーチャリング•顧客育成とは?
リードナーチャリングは自社の情報を見込み顧客にとって、適切なタイミング、適切な内容で提供することで製品やサービスをよく知ってもらい購買意欲を上げていくことです。
リード獲得は営業名刺交換や展示会やセミナー、自社サイトやメディアでの資料ダウンロードによって獲得をします。獲得する施策の内容、方法によってリードの質=製品サービスの購買に近い遠いは大きく異なります。リードの質に合わせたアクション、コンテンツの提供をすることがナーチャリングの基本となります。
主にリードは3つに分類することができます。
リードの種類
- コールドリード:自社の製品やサービスに対しての関心度が低いリード
- ウォームリード:自社の製品やサービスに対して関心を持ち、情報収集をしているリード
- ホットリード:情報収集をひと通り実施し、製品サービスの導入のため具体的な行動を起こす手前のリード
上記のようにリードは製品やサービス購入に近い、遠いで分類分けをすることができます。この分類を元に見込み顧客を分けそれぞれに合った、施策を実施し製品購買までのモチベーションを高めていくことがリードナーチャリングの目的です。
ここから具体的にリードナーチャリングの構築方法と手法を紹介していきます。
成果を上げるナーチャリング設計
リードナーチャリングで成果を上げることために重要なことは、目標を明確に持ち、現実的な手法と手段を選ぶことです。特に現実的な手法と手段を選ぶということは重要で、よくありがちなのは計画を立てたものの手間やお金がかかりすぎて継続できないことは多々あります。計画•設計の段階から現実的なプランを立てましょう。
それではナーチャリングの設計手順を見ていきます。
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1ゴール•目標設定
当たり前と思われるかもしれませんが、ナーチャリングで成果を上げるためにはゴール、目標設定を明確に行いましょう。「売上を上げたい」「営業にリードを渡したい」という不明瞭なゴール設定は適しません。
できる限り具体的に、かつ期間を設けたゴール設定をしましょう。例えば「半年間にA製品のホットリードを100件獲得」「1年間でBサービスの1億円の案件創出を行う」など目指すべきゴールが、マーケティングだけでなく社内の営業メンバーもわかりやすい目標であることが大切です。
ゴール設定は営業の責任者やトップ営業と握っておくことも重要です。ナーチャリングの先にリードを渡すのは営業になるので、その協力を得るためにも明確なゴールを一緒に擦り合わせましょう。
参考
KPI設定の仕方を知れるオススメ図書です。
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2顧客攻略シナリオの作成
ゴールを設定した後に作成するのが、ゴールを達成するための顧客攻略シナリオです。ゴールは多くの場合、XX件の案件創出やXX件のホットリードを営業にパスするといった形になります。自社の製品やサービスが案件、ホットリードになるまでの見込み顧客の変化をどう作り出すか、それを考えるのが攻略シナリオの作成で、カスタマージャーニーマップの作成がそれに当たります。
カスタマージャーニーマップの作成方法に関してはこちらの参考記事をご覧ください。
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カスタマージャーニーの設計においては、以下の見込み顧客の検討段階に合わせて、とりうる思考や感情を可視化し、発信すべきメッセージやタイミングを検討します。
- 課題の認識
- 情報収集
- 解決策の模索
- 製品•サービス認知
- 比較検討
- 購入
例えば、「リード獲得がマーケティング課題だと認識する→リード獲得の手法をGoogleで検索し情報収集をする→低単価でリード獲得できる商材を知り資料ダウンロードをする→いくつかの会社のウェビナーに参加する→サービスの導入」というような行動を可視化することで、どの広告をいつのタイミングで、どのような内容で出すかを想像しやすくなったり、メルマガやセミナーの内容も検討をしやすくなります。
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3コンテンツ制作計画を立てる
カスタマージャーニーマップを実際に施策に落すために必要なことが、コンテンツの制作計画です。よくジャーニーを作成後にすぐに施策やツールの選定に移ることがありますが、その前にコンテンツの制作計画を立てていきましょう。先に施策を考えていくと、展開できるコンテンツが手元になくスタートできない、もしくは途中でトーンダウンすることになってしまいます。始める止めにくくなるので、早い段階から半年や1年先までのコンテンツ制作の計画を立てましょう。
コンテンツ制作の計画は、発信すべきメッセージを見込み顧客に伝えるためのコンテンツの内容と形態とその置き場を考えていきます。
コンテンツ内容はカスタマージャーニーを作成した際に分けた、課題の認識、情報収集、解決策の模索、製品•サービス認知、比較検討、購入のフェーズごとに考えます。
形態と置き場所は主に広告、メディアタイアップ、記事や動画、WEBサイト、ホワイトペーパー、セミナーに分けられます。
内容と形態、置き場所のそれぞれの観点から必要なコンテンツをリストアップし、誰が、どのように、いつ作成するのかの目処を立てましょう。場合によっては外注をするなども含めて検討するのが良いでしょう。
ここできちんと計画を立てることで、年間にかかる費用やリソースを算出ができ、「ゴール達成のためにこれだけの予算が必要」ということも言いやすくなり社内での予算どりもしやすくなるでしょう。
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4見込み顧客の状態に合わせた施策の設計
最後にコンテンツの展開方法を整理します。リードをコールドからホットにしていくためには、適切なタイミング、適切な方法でコンテンツを届けることが大切です。
コールドリードの人に、製品の詳細や価格情報を伝えたり、ホットリードにトレンド情報や集客用のコンテンツを当てても意味がありません。見込み顧客の検討段階に合わせた、有益な情報を継続的に発信し続けることが大切です。
見込み顧客の検討段階を把握するためにはマーケティングオートメーションツール(MAツール)やデータベース(CDP)の導入をオススメします。メールのクリックや自社サイトでの資料ダウンロードによるフォーム入力を起点に、自社サイト内の動きを見込み顧客個人ごとに追跡することができます。
ナーチャリング施策
- 広告施策:MAツールやCDPと広告配信媒体を連携させることにより、見込み顧客の段階に合わせた広告配信を実施することができます
- メール施策:MAツールを使った最も一般的でコストを抑えられる手法です。リードリストに自社のWEBコンテンツやセミナー案内を送ることができます
- セミナーやウェビナー:イベントは顧客と直接の対話や反応を伺うことができる場です。製品やサービス関連のセミナー参加者はホットリードな可能性が高いです。
- DM施策:ダイレクトメールはメールと比較して個性を出しやすいため、注目を浴びるようなクリエイティブを使うことで顧客との距離を縮める施策になり得ます。最近はメールよりもDMに力を入れる企業も増えています。
これらの施策の打ち手を予算やスケジュールとともに検討します。ここまで出来ると実施に向けて動き出せます。
成功のためのポイント
ゴール設定を明確にし、見込み顧客のカスタマージャーニーを明確にして、コンテンツ計画を立て、施策を予算やリソースを加味しながら決定する。これがリードナーチャリング実施のための計画です。
やるべきことは多いですが、顧客視点に立ち、自社の製品をどう購入してもらうかを考え、形にしていく過程は非常に面白いものです。ぜひこの過程を楽しみながら計画し、時にはワークショップもしながら、出来る限り多くの社内の人を巻き込み計画を立てると良いでしょう。
そして立てた計画の実施状況は定期的にレビューをして、計画通りに進んでいるのか、どこかに問題が起きていないかを確認し、最適化をしていきましょう。そうすることで、着実に成果を上げる顧客ナーチャリングを実践することができます。
参考
BtoBマーケティングの基本形を知ることができる決定版です。